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日本クラフト&デザイン文化を支える作家たち

飯椀は各自専用でなく、 季節やご飯の種類によって取替えて シンプルで美しいテーブルに。

陶磁器/東京都世田谷区

宮脇 昭彦

Akihiko Miyawaki

 日本のテーブルは、食事どき、なぜごちゃごちゃとした印象なのだろうか。それが宮脇さんの疑問だった。世界に名だたる料理の種類の多さ、それに伴う多彩な食器を考えれば、ある意味、当然なのかもしれない。

 しかし宮脇さんは、美しくシンプルなテーブルで食事をとりたい。そこで、考えた。飯椀が家族ひとりひとり異なることも、その一因ではないか、と。

 たしかに日本の家庭では、家族それぞれが自分専用の飯椀を持つことが多い。しかも、無地あり縞あり、花柄もあり、陶器も磁器もある。これだけで、テーブルのシンプルさはないにひとしい。

 欧米に、このような習慣はない。日本以外には東南アジアにあるかどうか。これは、かつて各自が銘々膳で食事をとっていた時代、食器を今のように日々洗わなかった時代の名残りなのである。

 だから、専用の飯椀はやめようではないか。むしろ、かやくご飯なら茶色の土物の、豆ご飯なら白地に赤絵の、とご飯の種類によって茶碗を替える。夏は磁器、冬は陶器にする。料理や季節によって器を選ぶのは当然のことなのだから。ということで、今回の出品は、この2種となった。

 宮脇さんは、幼少時からご家庭で食卓を囲んだ折々に、父君から器のさまざまな薀蓄を話され、興味と関心を持つに至る。長じて大学では工業デザインも学んだが、デザインだけをするのは物足りなく、土を選び、それを調合してこね、焼成するまでのすべての工程に関わりたくて今がある。生活用品としての陶磁器を真摯に考えたがゆえである。その姿勢が、飯椀のあり方に結びついた。なにげなく用いている毎日の飯椀。それを見直してみるだけでも、暮らしはどんなに美しく快適になるかを、この作品は示唆している。

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